KOLLAMAT® PICK UP
KOLLAMAT®は、革由来の素材を活用し、成形品に自然な表情や触感を取り入れられる素材です。
均一であることが求められてきた従来の成形品に対し、一つひとつ異なる素材の表情を、製品の個性として活かせる点に特徴があります。
今回、KOLLAMAT®の開発・製造に関わるドイツのAVEMAからKai氏、Loris氏が来日。BADER JapanのThomas氏も交え、欧州での反応、素材としての魅力、そして日本のものづくりへの期待について話を聞きました。
ゼロウェイストの構想から生まれたAVEMAの素材開発
AVEMAの背景には、BADERグループが長年培ってきた革に関する知見があります。
BADERは、食肉や乳業などの副産物として生じる皮を、革という素材へと生まれ変わらせてきた長い歴史を持つ企業です。革の製造工程で生じる端材や未利用資源を、廃棄物として扱うのではなく、革新的な素材へとアップサイクルする。そうした考え方から、KOLLAMAT®の開発は始まりました。
AVEMAの構想は、2005年頃に生まれました。BADERグループの中で、残り物を単に再利用するだけでなく、ゼロウェイストに向けた新たな取り組みを始めたい。そうした思いから、大学の研究者とともに、未利用素材の活用に関する研究開発が進められてきました。
長年の研究開発を経て、2021年、AVEMAはBADERグループ内の独立したビジネスユニットとして設立されました。現在では、伝統的な革ビジネスと並ぶ事業の一つであるとともに、BADERが進めてきたゼロウェイストへの取り組みを象徴する存在となっています。
AVEMAは、自らを「サステナビリティとアップサイクリングのパイオニア」と捉えています。当初はBADERの革端材を活用することから始まりましたが、現在では革繊維に限らず、コーヒー由来の繊維、デニム、綿、ジュートなど、顧客が持ち込む多様なファイバーから新しい素材を生み出す存在へと進化しています。
KOLLAMAT®は、そうしたAVEMAの思想と技術から生まれた素材です。革由来の素材が持つ表情や繊維の質感を、成形素材として活かすことで、未利用資源に新しい価値を与えています。

なぜ欧州のデザイナーは、KOLLAMAT®に反応するのか
欧州でKOLLAMAT®が反応を得ている理由は、単にサステナブルな素材だからではありません。
AVEMAによると、グリップのように人が直接触れる用途では、KOLLAMAT®はプラスチックやコルクとは異なる、プレミアムな素材として受け止められています。革由来の繊維が持つ自然な表情や手触りが、他のリサイクル素材とは違う印象を生み出しているからです。
KOLLAMAT®の開発は、最初から明確な用途ありきで始まったわけではありません。「この未利用の革素材で何ができるのか」という実験から出発し、その過程で、耐摩耗性や滑りにくさといった特徴が見いだされていきました。
現在では、顧客から「もっと柔らかくしたい」「革の香りをより感じられるようにしたい」といった、五感に関わる具体的な要望も寄せられているといいます。 デザイナーたちは、KOLLAMAT®を単なる置き換え素材ではなく、製品の印象や体験を変える素材として見ているのです。

見た目、手触り、香りまで。五感で考えるCMFデザイン
CMFデザインにおいて、素材は単に色や表面仕上げを決める要素ではありません。見たときの印象、手に取ったときの感覚、使うたびに感じる質感まで、製品体験の多くを左右します。
KOLLAMAT®が欧州のデザイナーから反応を得ている背景には、この五感に関わる素材体験があります。革由来の繊維が生み出す自然な表情、手に触れたときの感覚、場合によっては香りまで含めて、製品の印象を設計できる点が関心を集めています。
顧客から「もっと柔らかくしたい」「革の香りをより感じられるようにしたい」といった要望が出ていることも、KOLLAMAT®が単なる材料ではなく、感覚に訴える素材として見られていることを示しています。
製品の価値は、機能や形状だけで決まるものではありません。手に取った瞬間の印象、使うたびに感じる質感、素材から受け取るストーリーも、商品企画やプロダクトデザインにおいて重要な要素になります。
KOLLAMAT®は、そうした素材体験を成形品の中に取り入れられるCMFデザイン素材として、これまでの樹脂素材とは異なる選択肢を提示しています。
“同じではない”ことが、製品の個性になる
KOLLAMAT®の特徴の一つは、同じ素材であっても、加工条件や繊維の見せ方によって異なる表情を生み出せることです。
大量生産品でありながら、一つひとつがわずかに異なる表情を持つこと。それは、工業製品において、素材由来の個性を取り入れることでもあります。
たとえば、香水や化粧品のパッケージのように、手に取った瞬間の印象がブランド体験につながる製品では、KOLLAMAT®の持つ自然な表情や触感が、製品の世界観を伝える要素になり得ます。
ラグジュアリー領域では、完全に均一であることだけが価値ではありません。一つひとつが少しずつ異なる表情を持つことが、「自分だけの特別なもの」という感覚につながる場合があります。
“同じではない”ことは、ばらつきではなく、製品の個性になる。
KOLLAMAT®は、素材由来の自然な表情を活かすことで、成形品に新しいデザイン価値をもたらす素材です。

新素材は、どこから取り入れるか。“小さな接点”から始める素材設計
新しい素材を製品に導入する際には、デザイン性だけでなく、耐久性、成形性、量産性、コスト、既存の品質基準との適合など、さまざまな検討が必要になります。
特に、製品本体や主要な構造部に新素材を採用する場合、求められる条件は厳しくなります。そのため、KOLLAMAT®のような新しい素材を取り入れる際には、まずアクセントパーツや交換可能な部位、人が直接触れる部位から検討することも有効なアプローチです。
たとえば、自動車分野では、フロアマットのようなアクセサリー領域でKOLLAMAT®の活用に向けたプロジェクトが進められています。これは、自動車という特定分野に限った話ではありません。
家電であればハンドルやつまみ、文具であればグリップやカバー、化粧品であればキャップや外装パッケージ、スポーツ用品であれば持ち手やプロテクターなど、製品本体の機能を大きく変えずに、素材の質感や触感を加えられる部位は多くあります。
KOLLAMAT®は、革由来の自然な表情や手触りを持つ素材です。だからこそ、まずは人が直接触れる部位や、ブランドの印象を伝えるアクセントパーツから取り入れることで、製品全体の体験価値を高めることができます。
新素材の導入は、必ずしも製品全体を置き換えることから始める必要はありません。
小さな接点から試し、素材の表情や使い心地を確かめながら、段階的に用途を広げていく。そのような進め方も、KOLLAMAT®の魅力を引き出す有効な方法です。

美しさと機能性を両立する、日本のものづくりへの期待
Kai氏とLoris氏は、日本のものづくりについて、デザインと機能性を高いレベルで両立させている点に強い印象を持っていると語ります。
デザインにおいて重視されるポイントは、国や市場によって異なります。その中でAVEMAが日本に感じているのは、美しさだけでなく、使いやすさや耐久性、細部の設計までを一体で考える姿勢です。
取材の中で例に挙がったのが、ランドセルです。
どこに力がかかるのか。
どの部分に強度が必要なのか。
毎日使う子どもにとって、どのような使いやすさが求められるのか。
日本の製品には、そうした細部へのこだわりが込められています。AVEMAは、美しさと機能性を切り離さずに考える日本のものづくりに、大きな敬意を示しています。
KOLLAMAT®は、単に素材を置き換えるための選択肢ではありません。製品の印象や触れたときの体験を変え、デザインと機能性の両面から新しい価値を生み出すための素材です。
その意味で、日本のデザイナーや商品企画担当者が持つ繊細な視点と、KOLLAMAT®の特性は相性がよいと言えます。

ドイツの素材開発力を、日本のものづくりへつなぐ
KOLLAMAT®の日本展開では、AVEMAが持つ素材開発・製造の知見を、BADER Japanと松井製作所が日本のものづくりの現場へつないでいきます。
松井製作所では、KOLLAMAT®の日本展開に向けて、段階的に取り組みを進めてきました。外部へ本格的に提案する前に、まずは自社内で素材を深く理解し、テストや試作を重ねながら、KOLLAMAT®を使いこなせる状態を目指してきました。
AVEMA側も、すぐに結果を求めるのではなく、素材を深く理解し、細部にこだわりながら市場に出していく松井製作所の進め方を、日本ならではの誠実なアプローチとして評価しています。
日本の製品開発では、意匠性だけでなく、品質、成形性、量産性、用途に応じた細かな対応が求められます。海外発の素材であっても、日本国内で相談しながら用途開発を進められる体制があることは、導入を検討する企業にとって大きな安心材料になります。
ドイツで培われた素材開発力と、日本のものづくり現場に向き合う提案力。その両方をつなぐことで、KOLLAMAT®は日本市場における新しい素材の選択肢として広がっていきます。

まずは見て、触れて、使い方を考える
KOLLAMAT®は、完成された用途を一方的に提案する素材ではありません。
どのような製品に使えば、素材の表情が活きるのか。
どのような触感であれば、ユーザーに心地よく感じてもらえるのか。
どのようなデザインであれば、革由来の素材感と成形品としての自由度を両立できるのか。
そうした問いを、日本のデザイナーやメーカーとともに考えながら、新しい用途を探っていく素材です。
AVEMAは、KOLLAMAT®を活用した商品開発に対し、細かな相談にも応えていく姿勢を示しています。BADER Japan、松井製作所とともに、ドイツと日本が一体となって、日本のものづくりの要求に応えていきます。
まずは見て、触れて、その質感を確かめてみてください。
“同じではない”ことが、製品の個性になる。
KOLLAMAT®は、成形品に素材由来の表情と触感を与え、プロダクトデザインやCMFデザインに新しい発想をもたらす素材です。

AVEMA GmbH
ドイツのBADERグループに属する素材開発部門です。革の製造工程で生じる端材や未利用資源を活用し、KOLLAMAT®をはじめとするアップサイクル素材の研究開発・製造に取り組んでいます。
KOLLAMAT®の可能性をその手で確かめてください

